放火、殺人、窃盗、夜行、姦淫、およびあらゆる兇行をして柳の樹下に行はしめよ。夜において光る柳の樹下に。
そもそも柳が電気の良導体なることを、最初に発見せるもの先祖の中にあり。

手に兇器をもつて人畜の内臓を電裂せんとする兇賊がある。
かざされたるところの兇器は、その生《なま》あたたかき心臓の上におかれ、生ぐさき夜の呼吸において点火発光するところのぴすとるである。
しかしてみよ、この黒衣の曲者《くせもの》も、白夜柳の木の下に凝立する所以である。

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