桜咲くところ

私はときをり自らを懺悔《ざんげ》する
雪で輝いた山山を見れば
遠いところからくる
時間をいふものに永遠を感じる
ひろびろとした眺《なが》めに対《むか》ふときも
よき人の艶麗《えんれい》がにほうて来るのだ
艶麗なものに離れない
離れなければ一層苦しいのだ
その意思の方向を先廻《さきまは》りすれば
もういちめんに桜が咲き出し
春浅い山山に
まだたくさんに雪が輝いてゐる