わたしのカケラ

空の水差し うつむく私の影を映す
こだまする 若き詩人の叫び
八月の青空に 私は歩いていた
川藻《かわも》に 足を絡ませながら

額《ひたい》の汗は 頬と首筋を滴り落ち 胸へと染みゆく
私は翼《はね》を広げ 水面《みなも》に指先をともすが
境界《きょうかい》は澄みわたり くずれ落ちてゆく
何もかもが 過ぎ去ってゆく

私が見つめたものは 夏の幻影
波紋を広げつかもうとする 子供の記憶
時を揺らし 滴り落ちたものを
持っていたことすら 忘れ去ったもモノを

私のココロは ココロのカケラ
日差しに磨かれた 黒い小石を
拾い集めた あの探求の日々に
白い足跡だけが 森のカケラを集めていた

    (2004.8)
 日差しの眩しい日、人の少ない河原を求めて、広瀬川にて