横手焼きそば:横手市(4)

横手は焼きそばで有名である。焼きそばなど、はっきり言って何も珍しくないが、名物と言われるのだから特徴があるのであろうと、試してみるとこにする。駅前の七兵衛という店に入り、横手焼きそばのセットを頼む。そして横手焼きそばのうんちくを読む。
戦後まもなく、横手で屋台のお好み焼き屋を営んでいた男性が、お好み焼き用の鉄板を用いた新たなメニューとして生み出したのがルーツ。焼きそばに適した麺を作るために、市内の製麺業者と試行錯誤を重ねた末、昭和28年ごろに現在の横手焼きそばの原型が完成した。一般的な焼きそばは、蒸し麺であるのに対し、横手の焼きそばはゆで麺を使用し、太くてまっすぐなのが特徴で断面が四角い。ウスターソースに各店のオリジナルソースを加え、汁が皿の下に残るぐらいさらさらしている。キャベツ、豚挽肉がスタンダード。麺の上に半熟の巨大目玉焼きを載せて福神漬けを添える。とある。
この店では、デミグラスソースなどをソースに加えて味を出し、卵には比内地鶏の卵を使い、麺をほぐすだしにも比内地鶏のガラを使っているそうである。30年代当時の作り方を伝えており、横手焼きそば伝承の店だそうである。さっそく出てきたものを食してみる。見た目はソースが皿にたっぷりありかなり濃厚である。半熟の卵焼きを崩して、ドロリといた卵の黄身と甘めのソース、そして太いゆで麺をからませて食べる。ふむ、普段食べている焼きそばとは、かなりイメージがことなりなかなか美味しい。ドロリとしたソースも卵の黄身の味により、口の中にいやな後味が残ったりはしない。赤い福神漬けも麺に色どりを添えている。焼きそばが名物と言われても、珍しくもないと思うかもしれないが、これは一食の価値がありである。
セットのプリンを食べる。これは店のオリジナルのようで、米粉を混ぜて蒸したプリンのようである。プリン本体がボソボソした感じなため、ホイップクリームが載せて食べやすくしてあるが、残念ながら私には今一歩に感じられた。
遅い昼食であったが、おなかが満たされたところで、再び電車に乗り秋田へと向かう。雪は海に近づくにつれて少しずつ減ってゆく。