朝の散歩:鰺ヶ沢(4)

特急つがる


目覚ましに起こされ起き上がるが、体がユラユラする。昨日は酒を飲みすぎた。日本酒を一升近く飲んだと思う。酒を飲み過ぎたかどうかというのは、その人がどのぐらい飲むことが出来るのかという量に依存するが、私にとって一升は次の日に残る量である。部屋に戻ってからの私はダウンしていたらしく、服は脱いであるが、それらスーツ類を床に捨てたようである。とてもワイシャツのボタンは留められないが、私服はセーターなので着る事は出来る。しかしふらふらでは、電車に酔ってしまう。もう一泊してもいいのだが、お金もないので温泉の風呂に浸かり、汗を流し、部屋を片付け外に出る。同じホテルに泊まったメンバーでは、さわやかに挨拶をする者もいたが、ぶつかりそうになった者もいた。
電車の時間にはまだ間があるので、酔い覚ましに辺りを散歩する。海へと続く川には白鳥が数匹群れをなしている。優雅に見える白鳥も、水面下では必死に足をバタバタさせていると聞いたことがあるが、浮いている分には特に力はいらないらしく、澄んだ水に黒い足が良く見える。椅子に座った子供のように足のやり場のないらしく、足に水絡ませていた。橋の欄干には、白地に薄い茶色の翼を持った海鳥達が、酔いどれ男に口ばしを向けている。草木の名前についても詳しくないが、鳥についてはさらに詳しくなく、鳥の種類はわからない。帰ってから調べているのだが、いまいちどれに該当するのかもわからない。
飲みすぎた次の日は、常に後悔が付きまとう物である、憂鬱になる。不老不死温泉でワンカップ1つでがまんし、4泊5日の旅でやっとお酒が飲める所に来たので、喉を潤すように酒が欲しかったのである。10人弱で飲み始めたのであるが、あまり親しくない人に対して失礼な発言や行動を取ったのではないだろうか。記憶がないわけではないので、人を殴ったり、脱ぎだしたりとかは間違ってもいないことが保障できる。しかし、細部の言葉については定かではない。
お酒を飲んでいる時、その中の一人が大学の先輩であることが判明して、大学の話や寮の話などで盛り上がってしまった。また漁港ということで魚もおいしく、さらにお酒が進んでしまったのであろう。家で友人と飲んでデロデロになることは多いのだが、旅行先でここまでなったのは、調子が悪いときを除いて数回目ぐらいであり(その中の一回は今年出かけたのいわき市である)、人として益々ダメな人間になっていく気がする。昔、寮で友人と飲んだときなど「ダメ人間万歳!」など言って酒を飲んだものだが、人に迷惑をかけるようになってしまっては、ダメ人間も極みであり反省しなくてはいけない。