晩き日の夕べに

大きな大きなめぐりが用意されてゐるが
だれにもそれとは気づかれない
空にも 雲にも うつろふ花らにも
もう心はひかれ誘はれなくなつた

夕やみの淡い色に身を沈めても
それがこころよさとはもう言はない
啼《な》いてすぎる小鳥の一日も
とほい物語と唄《うた》を教へるばかり

しるべもなくて来た道に
道のほとりに なにをならつて
私らは立ちつくすのであらう

私らの夢はどこにめぐるのであらう
ひそかに しかしいたいたしく
その日も あの日も賢《かしこ》いしづかさに?

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