2005-03-22 村の時計 詩 中原中也 村の大きな時計は、 ひねもす動いてゐた その字板のペンキは、 もう艶《つや》が消えてゐた 近寄つてみると、 小さなひびが沢山にあるのだつた それで夕陽が当つてさへが、 おとなしい色をしてゐた 時を打つ前には、 ぜいぜいと鳴つた 字板が鳴るのか中の機械が鳴るのか 僕にも誰にも分らなかつた 目次に戻る