カモの国

池の水 ブクブクと
すらりと伸びる嘴(くちばし)
曲がる首 水面(みなも)にはさむ

幸せなのか 君達は
池としては広い ここは
葦が茂っている
冬も終わると言うに
ススキは秋の様だ

君達は歩きたくとも
辿り着けない
城の様に囲まれ
高い建物で囲まれ
夜も少し明るい

僕たちの国には 人ですら
君達のように多くない
食べ物も 少しずつしか分けられない
それでも
山はどこまでも連なっていて
空までも続いている
雲が歩いている

君たちの三本の足跡でも
歩いていけるだろうさ

 (2005.3.3)
 上野公園で一人、カモと向き合う。