山登りについて

私は2年ほど前に椎間板ヘルニアをわずらい手術をした。それ以来、健康の維持を目的として山登りを始めた。私が山に登ることを選んだ理由は私の人生の残りの目的とも関係している。それは帰る場所を探すという事だ。私は山を登り始める前から山という偉大な存在に惹かれ、彼を遠く眺めていた。周りを山に囲まれた盆地で生まれた私は、生まれて間もないうちからそこを遠く離れ、結果として山も海も見えない都市で育った。しかし今私は、本来自分が根を持つ事になったであろうはずの土地を求めたいと考えている。生まれた場所に限らず、私は山に、或いは山の麓の場所に、自分が森や山の呼吸で暮らしていける場所、静かに眠ることの出来る場所を探していきたい、この事が山を登り続ける理由の一つである。
だが、元々身体を悪くしたが山登りを始めたきっかけであり、当時の知人の内で、最も健康に自身のありそうな者と共に、私は宮城・山形の山登りを始めた。お互い山については初心者であった。無論今でも初心者には違いない。私は結果として、コースの整備されている山しか登ってはいない。しかし、私は今一人で山を登り始めている。身体が悪いことを考えればあまり良いこととは言えない。しかし、いくらか定期的に山を登り続ける事によって、どのぐらいで身体に危険のシグナルが出るかという事について幾分かわかるようになってきた。私は一人で登ることを通じて、肯定できない日々の生活と悩める自分自身を見つめ、深く呼吸をしていかなければならない。

※人に見せるには心情的に重たいので書き直したのだが、記録なので元の文も残しておく。