雨上がり、昼下がり、水色時

街を歩いています。
雨が落ちて来ました。
雨が落ちて来たのに、傘を持っていません。
傘を持っていない人は、雨に濡れてしまいます。
雨に濡れてしまったら、家に入れてもらえません。
家に入れてもらえないと、ご飯が食べられません。
ご飯が食べられないと、死んでしまいます。
雨が止んでくれないと、死んでしまいます。

街に立っています。
雪が降りて来ました。
雪が降りて来たのに、家族がいません。
家族がいない人は、ぬくもりを知りません。
ぬくもりを持たないと、心は解けてくれません。
心が解けてくれないと、雪に凍えてしまいます。
雪に凍えてしまったら、死んでしまいます。
雪が止んでくれないと、死んでしまいます。

街で待っています。
虹が歩いて来ました。
虹が歩いて来たのに、心を開いてくれません。
心を開いてくれない人は、闇に覆われてしまいます。
闇に覆われてしまったら、森に救ってもらえません。
森に救ってもらえないと、夢を見ることが出来ません。
夢を見ることが出来ないと、死んでしまいます。
虹が導いてくれないと、死んでしまいます。

街を走っています。
枯葉が舞いて来ました。
枯葉が舞いて来たのに、故郷で生きていません。
故郷で生きていない人は、根を持つことが出来ません。
根を持つことが出来ないと、花が咲きません。
花が咲かないと、実が生ってくれません。
実が生ってくれないと、死んでしまいます。
枯葉がさらってくれないと、死んでしまいます。

街で過ごして来ました。
一人歩いて来ました。
雨に打たれて来ました。
雪に震えて来ました。
森は霞んで来ました。
身体は老いて来ました。
この宇宙の何処に
あなたの故郷がありますか?

    (2005.6.2-7.24)
 雨に濡れた午後、心のありかを考える。