交差点

白と黒のしましま
人の影が過ぎる
ひびくは鳩の足音
首を振るバネの人形

スクランブルに過ぎさる
大人達のあこがれ
ひびくはサイレンの音
うつむくは時計台の針

白い線を歩く日
雪の国の童《わらし》
黒い線を歩く日
ビルの国の子供

根を持たぬ並木道
スクランブルに過ぎさり
独り立ちした鳥が
夜のコケコッコーをする

この土地の人達には
ふるさとがありません
ここから骨も生まれます
乾いて渦巻く日々 ごめえんなあさい

霞ヶ関の真ん中 一人体育座りする

(2005.春)