悲哀《ひあい》のなかに 私はたたずんで
眺めてゐる いくつもの風景が
しづかに みづからをほろぼすのを
すべてを蔽《おほ》ふ 大きな陽さしのなかに
私は黒い旗のやうに
過ぎて行く古いおもひにふるへながら
風や 光や 水たちが 陽気にきらめくのを
とほく眺めてゐる…別れに先立《さきだ》つて
私は すでに孤独だ――私の上に
はるかに青い空があり 雲がながれる
しかし おそらく すべての生は死だ
眼のまへに 声もない この風景らは!
そして 悲哀は ときどき大きくなり
嗄《しはが》れた鳥の声に つきあたる