新暦

尋ね入る 奥羽の宿で 初暦 大地にとけいる 雪囲かな

新年の歌について

私は去年の始めに自分の心境を深く織り込んだ短歌を詠みましたが、今年は年越し数日前から友人と共に過ごしたために、和やかさが表れる短歌となりました。
内容としても、自分の心の故郷である東北の地に帰り、雪深い山間の温泉宿を尋ねて、そこで友人と共に年越しを迎えることが出来た、という率直なものです。
私が出かけたのは岩手県の温泉宿でしたが、そこに行く途中の湖も周りの山々もすっかり雪に埋もれていて、一面真っ白な銀世界でした。
「雪囲」というのは樹木を雪から守るために、木の板や麻袋や縄で樹木を覆うことで、雪深い東北の山間部であればどこでも見られる風物詩です。
街中の「雪囲」でさえあまりの雪に真っ白に染まり、大地の白にしみじみと解け入っていることには心を動かされます。