2006-01-30 記憶の樹木 詩 山村暮鳥 樹木がすんなりと二本三本 どこでみたのか その記憶が私を揺すつてゐる…… 入日に浸つて黄色くなつた 最後の葉つぱ その葉の落ちてくるのをそれとなく待つてゐた それが自分達の上でひるがへり 冬の日は寂しく暗くなりかけた 風の日はいまも其の木木 骨のやうになつた梢の嗄《しはが》れ声 目次に戻る