黄金向日葵

我《わ》が恋は黄金《こがね》向日葵《ひぐるま》、
曙いだす鐘にさめ、
夕の風に眠るまで、
日を趁《お》ひ光あこがれ、まろらかに
眩《まば》ゆくめぐる豊熱《ほうねつ》の
彩《あや》どり饒《おほ》きこがねの花なれや。

これ夢ならば、とこしへの
さめたる夢よ、こがねひぐるま。
これ影ならば、あたたかき
瑞雲《みづぐも》まとふ照日《てるひ》の生《い》ける影。

円《まろ》らかなれば、天蓋《てんがい》の
遮《さへぎ》りもなき光の宮の如。
まばゆければぞ、王者《わうじや》にすなる如、
百花《もゝはな》、見よや芝生《しばふ》にぬかづくよ。

今はた、似たり、かなたの日輪《にちりん》も、
わが恋の日にあこがれて
ひねもすめぐるみ空の向日葵《ひぐるま》に。

(八月二十二日) 

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