あさがほ

ああ百年《ひやくねん》の長命《ちやうめい》も
暗の牢舎《ひとや》に何かせむ。
醒《さ》めて光明《ひかり》に生《い》くるべく、
むしろ一日《ひとひ》の栄願《はえなが》ふ。

寝《ね》がての夜のわづらひに
昏耗《ほほ》けて立てる朝の門《かど》、
(これも慈光《じくわう》のほほゑみよ、)
朝顔を見て我は泣く。

(甲辰十二月二十二日夜) 
『心の声』畢

目次に戻る