2006-10-09 あさがほ 詩 石川啄木 ああ百年《ひやくねん》の長命《ちやうめい》も 暗の牢舎《ひとや》に何かせむ。 醒《さ》めて光明《ひかり》に生《い》くるべく、 むしろ一日《ひとひ》の栄願《はえなが》ふ。 寝《ね》がての夜のわづらひに 昏耗《ほほ》けて立てる朝の門《かど》、 (これも慈光《じくわう》のほほゑみよ、) 朝顔を見て我は泣く。 (甲辰十二月二十二日夜) 『心の声』畢 目次に戻る