2005-05-18から1日間の記事一覧

ある日

雨はやんだ しかし 空はくもっている 白いような すこし ひかるような雲がいっぱいだ ものを考えてはならないとおもった 目次に戻る ルビは《》で示した。 底本:「定本 八木重吉」彌生書房(平成5年)

いいことをしよう

いいことをしよう わたしだけ 家来になろう みんな王さまにしよう 目次に戻る

お湯へはいろう

お湯へはいろう すこし ひとりことでもいいながらはいってやろう からだも お湯もうれしかろう 目次に戻る

ふしぎなのは魂である 完いたましいは腐れている 砕けているときのみ魂は完全である 目次に戻る

雨が ぼしゃぼしゃふってる にごり水が ぐんぐん ながれる いい あんばいだとおもう のどのとこまで なんだかおしあげてくる 目次に戻る

根なき花は枯れる 天の父のふところに根をはりて たえずいのちをすいもとめざれば われらの愛はひと日にて枯れはてる 目次に戻る

百日紅

さるすべりをみたらば たくさんに いい花がさきみだれていた 紅くて そっとわたしの肩をたたくようなきがした 目次に戻る

憶えがき

これ等の詩篇は殆んどすべてわが熱く愛するものなり。これ等はわづか二日にしてなれるものなり。みずからにもふしぎとするまで愛らしき詩なり。われは、ふたたび曙にたつおもいあり。命なかりしものも命あるべくおもわれきたれるなり。 目次に戻る

うたを歌おう

一九二五年(大正十四年)八月二六日編 目次 憶えがき 百日紅 ○ 雨 魂 お湯へはいろう いいことをしよう ある日