はる

おれがいつも詩を書いてゐると
永遠がやつて来て
ひたひに何か知らなすつて行く
手をやつて見るけれど
すこしのあとも残さない素早い奴だ
おれはいつもそいつを見ようとして
あせつては手を焼いてゐる
時がだんだん進んで行く
おれの心にしみを遺《のこ》して
おれのひたひを何時《いつ》もひりひりさせて行く
けれどもおれは詩をやめない
おれはやはり街から街をあるいたり
泥濘《でいねい》にはまつたりしてゐる