ハゲタカの心もて

食物連鎖 過酷な生存競争が行われている
強きものが弱きものを喰らい 弱き者が滅べれば強き者も死に絶える運命
草食動物もわずかな水を求めて互いに傷つけあう
生きてゆくとは 過酷な生存競争なり
より高く山脈の峰へ より高き大空へ
高みを目指す者あらば 死肉を喰らう者もあり
巨大な翼で空を舞い 旋回して血流ながめ
獣が勝ち得たその肉を 引き裂き、ちぎり、奪い去る
我はハゲタカなるか

今日のかても死肉なり 人の獲物に喰らいつく
言われたことのみ忠実に 奴隷仕事を為している
肉でもなく 何も生まず ハゲタカなり
家に帰れば一人 永遠がやってくる
不意に襲われペンを取る 書き連ねたる字の羅列
マス目植えたる平原に 木やら森やら沸き踊り 山の風さえ吹き過ぎる

生き急いでる死の世界
私の詩文見返し見れば
哲学者が吐き出した言葉
小説化が生み出した文章
俳人が描いた哀愁
読み返された文章
模倣が想像の世界で 自らの世界を描く
辞書を引き言葉を捜し
絵画を見ては世界を写し
本をめくり表現も富む

神ではない、無から有は生み出せぬ
自らを考える者を哲学者と呼ぶごとく、詩で自らを表現するのだ
せめてそれらを刻み込み 体の中に求めたい
ハゲタカと死肉を食べても 自分の肉を喰らいたい
ハゲタカの心もて 詩人となりん

   (2003.3)