2004-07-25 砂山の雨 詩 室生犀星 砂山に雨の消えゆく音 草もしんしん 海もしんしん こまやかなる夏のあもひも わが身《みな》うちにかすかなり 草にふるれば草はさあをに 雨にふるれば雨もまさをなり 砂山に埋め去るものは君が名か かひなく過ぐる夏のおもひか いそ草むらはうれひの巣 かもめのたまご孵《かえ》らずして あかるき中にくさりけり