忘れられた道

青ざめた顔面 月の光に映し
瓦礫で踊る 過ぎし日の道標(みちしるべ)

今、歩いてきた路は、闇の中へと過ぎ去り
次のモノノ価値に、過去の路が敷かれる

錆びれた線路に、舌を寄せれば
きしんだレールの、幾世もの錆

シャーシャー キシャーキシャー
沈黙の中 何かが嘆息を吐く

何と長い影だろう
ビロビロしたモノをたゆらせて

廃墟に向かってカタコトと
錆びれるものを見つめながら

あれは犬だ!月に吠える犬だ!

   (2004.8)
単線の列車のレールと標識を見つけて