車内にて:鰺ヶ沢町(1)

鰺ヶ沢


私はいつも、列車のことを、電車と言ってしまっている。仙台周辺や、東京に出張したときなどはそれでいいのだろうが、ここいらへんでは事情が違う。夕方の飲み会のときに何回も指摘さてしまったのだが、五能線は電車ではないのである。つまりパンタグラフはない。では何か、ディーゼルエンジンで動いている、列車と言わなくてはいけない。したがって、昨今北上線で、燃料補充を忘れたため列車が立ち往生したニュースがあったが、それは電車ではなくて列車だからである。しかも、燃料が切れるということは、車内の暖房も効かなくなるわけでさぞ寒かったであろう。
この深浦から鰺ヶ沢間は、引き続き海岸沿いを走る。風が吹くと五能線がよく止まるのは、この区間のためらしい。波打ち際のテトラポッドを列車から眺めていると、何かコンペイトウのような、波でぬれた姿がロケット型のチョコレートのようなで微笑ましい。以前、湖の畔のテトラポッドにまたがって遊んでいたことがあるが、テトラポッドの間の陰でドス黒い水面が近づいたり遠ざかったりするのは、逆にかなり恐ろしいものである。
海岸沿いの家の屋根の雪は、10cm以上積もっているが、それらは横手・大曲で見た程ではない。しかし、屋根から垂れているツララの長さが、圧倒的にこちらの方が上で、長いものだと1m近いのもあるように思われる。海沿いの気候により、融けて固まってというのが程よいのかもしれない。秋田出身の人に後から聞いた話だが、昔はこのツララが斜めになって窓に当たったりすると、ガラスが割れる事があったりしたそうで、馬鹿に出来ないそうである。今のガラスは強いからそんなことは無いらしいが、昔の板ガラスではそういうことがあったそうだ。