2005-11-02 強敵 詩 島崎藤村 一つの花に蝶と蜘蛛 小蜘蛛は花を守《まも》り顔 小蝶は花に酔ひ顔に 舞へども舞へどもすべぞなき 花は小蜘蛛のためならば 小蝶の舞《まひ》をいかにせむ 花は小蝶のためならば 小蜘蛛の糸をいかにせむ やがて一つの花散りて 小蜘蛛はそこに眠れども 羽翼《つばさ》も軽き小蝶こそ いづこともなくうせにけれ 目次に戻る