2005-11-02 松島瑞巌寺に遊び葡萄栗鼠の木彫を観て 詩 島崎藤村 舟路《ふなぢ》も遠し瑞巌寺 冬逍遙《せうえう》のこゝろなく 古き扉に身をよせて 飛騨《ひだ》の名匠《たくみ》の浮彫《うきぼり》の 葡萄のかげにきて見れば 菩提《ぼだい》の寺の冬の日に 刀《かたな》悲《かな》しみ鑿《のみ》愁《うれ》ふ ほられて薄き葡萄葉の 影にかくるゝ栗鼠《きねずみ》よ 姿ばかりは隠すとも かくすよしなし鑿《のみ》の香《か》は うしほにひゞく磯寺《いそでら》の かねにこの日の暮るゝとも 夕闇かけてたゝずめば こひしきやなぞ甚五郎 目次に戻る