ああ君こそは、青淵《あをぶち》の
流転《るてん》の波に影浮けて
しなやかに立つ柳《やなぎ》なれ。

流転《るてん》よ、さなり流転よ、それ遂に
夢ならず、また影ならず、
照る世の生日《いくひ》進み行く
生命《いのち》の流れなればか、春の風
燻《くん》じて波も香にをどり、
ひと雨毎《あめごと》に梳《くしけ》づる
愛の小櫛《をぐし》の色にして、
見よ今、枝の新装《にひよそひ》、
青淵波もたのしげに
世は皆恋の深緑《ふかみどり》。

(九月十四日) 

目次に戻る