序文*2

      函館なる郁雨宮崎大四郎君
      同国の友文学士花明金田一京助

この集を両君に捧ぐ。予はすでに予のすべてを両君の前に示しつくしたるものの如し。従つて両君はここに歌はれたる歌の一一につきて最も多く知るの人なるを信ずればなり。
また一本をとりて亡児真一に手向く。この集の稿本を書肆の手に渡したるは汝の生れたる朝なりき。この集の稿料は汝の薬餌となりたり。而してこの集の見本刷を予の閲したるは汝の火葬の夜なりき。

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      明治四十一年夏以後の作一千余首中よ
      り五百五十一首を抜きてこの集に収
      む。集中五章、感興の来由するところ
      相邇《ちか》きをたづねて仮にわかてるのみ。
      「秋風のこころよさに」は明治四十一
      年秋の紀念なり。