立原道造の年譜

大正3年
東京市日本橋区橘町に、商品荷造り用木箱製造業の立原家の次男として生まれる。父貞次郎、母登免。
大正8年
父貞次郎死去。店の看板が「立原道造商店」と改めれた。
このころから、母と弟の3人家族で、店の仕事は番頭が采配を振るっていた。
大正12年 関東大震災に遭い、家が焼失。千葉県東葛飾郡新川村に避難する。
昭和3年
の年から翌年にかけて、「硝子窓から抄」「葛飾集」「葛飾集以後」の歌ノート3種を残す。
昭和4年
宗利に伴われて北原白秋を訪れ、詩稿を示す。震災後にできた家の2階に天体望遠鏡を据え、大学で天文学を志す意思を固める。家業は弟達夫が継ぐことになった。
昭和6年
中第一高等学校に入学、文芸部に所属する。
前田夕暮の主宰する口語短歌誌「詩歌」7月号から翌年6月まで毎号にわたり、口語短歌を山木祥彦の名で発表。校友会雑誌に物語「あひみてののちの」を発表。
昭和7年
友会雑誌に詩「青空」を発表。友人とともに同人誌「こかげ」創刊、4号で廃刊。この秋に堀辰雄をたずねる。
昭和8年
友会雑誌に短編「日曜日」「5月」を発表。手製の詩集「日曜日」「散歩詩集」つくる。
昭和9年
帝国大学工学部建築学科入学。天文学から建築に進路を変える。
友人とともに同人誌「偽画」を創刊、物語「間奏曲」を発表、3号で廃刊。
夏に、堀辰雄、近藤武夫らのいる信濃追分に赴き、追分油屋に滞在。「緑蔭倶楽部」「貧乏の死」「子供の話」等の物語を書く。「四季」に詩「村ぐらし」を発表。
昭和10年
「四季」に詩「初冬」「小さな墓の上に」「抒情小曲集」「燕の歌(一)」「静物」「旅装」「愛する」「風のうたつた歌」「花卉」「天の誘い」「クロスビー詩抄」「傷ついて、小さい獣のやうに」「はじめてのものに」「またある夜に」「夏の旅」を発表。
帝大新聞に詩「枯木と風の歌」「民謡」を発表。
同人誌「偽画」を解体し、新たに「未成年」を創刊、詩「一日は…」「風のうたつた歌」、物語「生涯の歌」、リルケの訳詩「真面目な時」「オルフェヘのソネット・Ⅰ」を発表。
雑誌「コギト」に詩「風に寄せて」を発表。雑誌「作品」に物語「春のごろつき」を寄稿。
夏、追分に行き行き滞在する。浅間山の爆発を始めて経験し「ノートⅣ火山灰」が書かれる。
昭和11年
「四季」に詩「雨の言葉」「孤独の日の真昼」「朝やけ」「小譚詩」「黒手帖」「旅人の夜の歌」「失われた夜に」「夏花の歌(一)」「風と枯木の歌」「追分案内」「甘たるく感傷的な歌」「逝く昼の歌」「わかれる昼に」「のちのおもひに」、評論「愛する神の歌」を発表。
「コギト」に詩「憩らひ」「夏花の歌(二)」、物語「かろやかな翼のある風の歌」を発表。
「未成年」に詩「ちひさき花の歌」「みまかれる美しきひとに」「Dictation」「夏秋表」、物語「メリメの歌(第三章)」、随筆「いろいろなこと(一・二)」
「作品」に物語「春のごろつき」を発表。
「文芸汎論」に詩「窓下楽」「虹の輪」「ゆふすげびと」を発表。
「新潮」に「晩き日の夕べに」を発表。
「文芸懇話会」に物語「花散る里」を発表。
帝大建築科木葉会の機関紙「建築」に「住宅・エッセイ」を発表。
ストルム翻訳集「林檎みのる頃」を刊行。
夏の終わりから、体の変調を訴える。
昭和12年
業設計「浅間山麓に位する芸術家コロニーの建築群」を提出。
大学卒業、銀座の石川建築事務所に勤める。
「四季」に詩「虹とひとと」「夏の弔い」「忘れてしまつて」「浅き春に寄せて」「追憶」「眠りのほとりに」「石柱の歌」、物語「鳥啼く夕べに詠める歌」「不思議な河辺で」「やがて秋…」を発表。
「コギト」に詩「ひとり林に…」を発表。
「文芸」に物語「鮎の歌」を発表。
「文芸汎論」に詩「薄明」、物語「物語」を発表。
婦人公論」に詩「うたふやうにゆつくりと…」を発表。
「都新聞」に詩「真冬のかたみに」を発表。
詩集「暁と夕の詩」を刊行。
肋肺炎を病み、仕事を2ヶ月間休む。徴兵検査、丁種不合格。
昭和13年
「四季」に詩「初冬」「歌ひとつ」「わがまどろみは覚めがちに」「別離」「初夏」「優しき歌(一、朝に 二、また昼に)」「魂を鎮める歌」、「詩集西康省」を発表。
「コギト」に物語「オメガぶみ」「風に寄せて」を発表。
「文芸」に詩「晩秋」を発表。
「文芸汎論」に「物語」を発表。
「一高同窓会会報」に詩「ふるさとの夜に寄す」を発表。
「セルパン」に詩「午後に」を発表。
「新日本」に詩「何処へ?」を発表。
「文学界」に詩「夜に詠める歌」を発表。
「むらさき」に詩「草に寝て」を発表。
「新生」に詩「月の光に与へて」を発表。
「映画と演芸」に詩「麦藁帽子」「失題」を発表。
「こをとろ」に詩「唄」を発表。
7月から、健康状態が思わしくなく事務所を休む。12月から東京市立療養所に入る。
昭和14年
1月29日、息を引きとる。
「四季」立原道造追悼号がだされ、詩「優しき歌(Ⅰ爽やかな五月に、Ⅱ落葉林で、Ⅲさびしき野辺、Ⅳ夢のあと、Ⅴまた落葉林で)」が載る。



(白凰社 「立原道造詩集」年表 参考)