2006-01-30 薄暮の祈り 詩 山村暮鳥 此のすわり 此の静かさよ 而もどつしりとした重みをもつて林檎はまつかだ まつかなりんご りんごをぢつとみてゐると ほんとに呼吸をしてゐるやうだ ねむれ ねむれ やせおとろへてはゐるけれど 此の掌《て》の上でよくねむれ 此のおもみ 此の力のかたまり うつくしいのは愛だ そして力だ 林檎一つ ひたすらに自分は祈る ましてこのたそがれの大なる深さにあつて しみじみとりんごは一つ りんごのやうに自分達もあれ 此の真実に生きよう 目次に戻る