2006-01-30 一日のはじめに於て 詩 山村暮鳥 みろ 太陽はいま世界のはてから上るところだ 此の朝霧の街と家家 此の朝あけの鋭い光線 まづ木木の梢のてつぺんからして 新鮮な意識をあたへる みづみづしい空よ からすがなき すずめがなき ひとびとはかつきりと目ざめ おきいで そして言ふ お早う お早うと よろこびと力に満ちてはつきりと おお此の言葉は生きてゐる! 何といふ美しいことばであらう 此の言葉の中に人間の純《きよ》さはいまも残つてゐる 此の言葉より人間の一日ははじまる 目次に戻る