一日のはじめに於て

みろ
太陽はいま世界のはてから上るところだ
此の朝霧の街と家家
此の朝あけの鋭い光線
まづ木木の梢のてつぺんからし
新鮮な意識をあたへる
みづみづしい空よ
からすがなき
すずめがなき
ひとびとはかつきりと目ざめ
おきいで
そして言ふ
お早う
お早うと
よろこびと力に満ちてはつきりと
おお此の言葉は生きてゐる!
何といふ美しいことばであらう
此の言葉の中に人間の純《きよ》さはいまも残つてゐる
此の言葉より人間の一日ははじまる

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