銀河

天《あま》の河原《かはら》を
    ながむれば
星の力《ちから》は
    おとろへて
遠きむかしの
    ゆめのあと
こゝにちとせを
    すぎにけり

そらの泉《いづみ》を
    よのひとの
汲むにまかせて
    わきいでし
天の河原は
    かれはてて
水はいづこに
    うせつらむ

ひゞきをあげよ
    織姫よ
みどりの空は
    かはらねど
ほしのやどりの
    今ははた
いづこに梭の
    音《ね》をきかむ

あゝひこぼしも
    織姫も
今はむなしく
    老い朽《く》ちて
夏のゆふべを
    かたるべき
みそらに若き
    星もなし

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