2005-11-02 昼の夢 詩 島崎藤村 花橘の袖の香の みめうるはしきをとめごは 真昼《まひる》に夢を見てしより さめて忘るゝ夜のならひ 白日《まひる》の夢のなぞもかく 忘れがたくはありけるものか ゆめと知りせばなまなかに さめざらましを世に出《い》でゝ うらわかぐさのうらわかみ 何をか夢の名残ぞと 問はゞ答へん目さめては 熱き涙のかわく間もなし 目次に戻る