2005-02-01から1ヶ月間の記事一覧

旅行

この小さな駅で 鉄道の柵のまはりに 夕方がゐる 着いて僕はたそがれる だらう ……路の上にしづかな煙のにほひ 僕の一歩がそれをつきやぶる 森が見 える 畑に人がゐる この村では鴉が鳴いてゐる やがて僕は疲れた僕を固い平【たいら】な黒い寝 床に眠らせるだ…

日記

季節のなかで 太陽が 僕を染めかへる ちようど健康さうに見えるまで ……雨の日 埃だらけの本から 僕は言葉をさがし出す―― 黒つぐみ 紫陽花 墜落 ダイヤの女王【クヰーン】……… (僕は僕の言葉を見つけない!) 夜が下手にうたつてきかせた 眠られないと 僕はい…

街道【かいどう】の外れで 僕の村と 隣の村と 世間話をしてゐる 《もうぢき鶏が鳴くでせう 《これからねむい季節です その上に 昼の月が煙を吐【は】いてゐる 目次に戻る

裸の小鳥と月あかり 郵便切手とうろこ雲 引出しの中にかたつむり 影の上にはふうりんさう 太陽と彼の帆前船【ほまえせん】 黒ん坊と彼の洋燈【ランプ】 昔の絵の中に薔薇の花 僕は ひとりで 夜が ひろがる 目次に戻る

風が……

《郵便局で 日が暮れる 《果物屋の店で 灯がともる 風が時間を知らせて歩く 方々【ほうぼう】に 目次に戻る

日曜日

目次 風が…… 唄 春 日記 旅行 田園詩 僕は 暦 愛情 帽子 跋……

夢見たものは……

夢見たものは ひとつの幸福 ねがつたものは ひとつの愛 山なみのあちらにも しづかな村がある 明るい日曜日の 青い空がある 日傘をさした 田舎の娘らが 着かざつて 唄をうたつてゐる 大きなまるい輪をかいて 田舎の娘らが 踊りををどつてゐる 告げて うたつ…

樹木の影に

日々のなかでは あはれに 目立たなかつた あの言葉 いま それは 大きくなつた! おまへの裡【うち】に 僕のなかに 育つたのだ ……外に光が充ち溢れてゐるが それにもまして かがやいてゐる いま 僕たちは憩【いこ】ふ ふたりして持つ この深い耳に 意味ふかく…

午後に

さびしい足拍子【あしびようし】を踏んで 山羊【やぎ】は しづかに 草を食べてゐる あの緑の食物は 私らのそれにまして どんなにか 美しい食事だらう! 私の飢ゑは しかし あれに たどりつくことは出来ない 私の心は もつとさびしく ふるへてゐる 私のをかし…

また昼に

僕はもう はるかな青空やながれさる浮雲のことを うたはないだらう…… 昼の 白い光のなかで おまへは 僕のかたはらに立つてゐる 花でなく 小鳥でなく かぎりない おまへの愛を 信じたなら それでよい 僕は おまへを 見つめるばかりだ いつまでも さうして ほ…

朝に

おまへの心が 明るい花の ひとむれのやうに いつも 眼ざめた僕の心に はなしかける 《ひとときの朝の この澄んだ空 青い空 傷ついた 僕の心から 棘【とげ】を抜いてくれたのは おまへの心の あどけない ほほゑみだ そして 他愛もない おまへの心の おしやべ…

また落葉林で

いつの間 もう秋! 昨日は 夏だつた……おだやかな陽気な 陽ざしが 林のなかに ざわめいてゐる ひとところ 草の葉のゆれるあたりに おまへが私のところからかへつて行つたときに あのあたりには うすい紫の花が咲いてゐた そしていま おまへは 告げてよこす 私…

夢のあと

《おまへの 心は わからなくなつた 《私の こころは わからなくなつた かけた月が 空のなかばに かかつてゐる 梢のあひだに―― いつか 風が やんでゐる 蚊の鳴く声が かすかにきこえる それは そのまま 過ぎるだらう! 私らのまはりの この しづかな夜 きつと…

さびしき野辺

いま だれかが 私に 花の名を ささやいて行つた 私の耳に 風が それを告げた 追憶の日のやうに いま だれかが しづかに 身をおこす 私のそばに もつれ飛ぶ ちひさい蝶らに 手をさしのべるやうに ああ しかし と なぜ私は いふのだろう そのひとは だれでもい…

落葉林で

あのやうに あの雲が 赤く 光のなかで 死に絶えて行つた 私は 身を凭【もた】せてゐる おまへは だまつて 脊を向けてゐる ごらん かへりおくれた 鳥が一羽 低く飛んでゐる 私らに 一日が はてしなく 長かつたやうに 雲に 鳥に そして あの夕ぐれの花たちに …

爽やかな五月に

月の光のこぼれるやうに おまへの頬に 溢れた 涙の大きな粒が すぢを曳いたとて 私は どうして それをささへよう! おまへは 私を だまらせた…… 《星よ おまへはかがやかしい 《花よ おまへは美しかつた 《小鳥よ おまへは優しかつた ……私は語つた おまへの…

序の歌

しづかな歌よ ゆるやかに おまへは どこから 来て どこへ 私を過ぎて 消えて 行く? 夕映【ゆふばえ】が一日を終らせよう と するときに―― 星が 力なく 空にみち かすかに囁きはじめるときに そして 高まつて むせび泣く 絃【いと】のやうに おまへ 優しい歌…

優しき歌

目次 序の歌 Ⅰ 爽やかな五月に Ⅱ 落葉林で Ⅲ さびしき野辺 Ⅳ 夢のあと Ⅴ また落葉林で Ⅵ 朝に Ⅶ また昼に Ⅷ 午後に Ⅸ 樹木の影に Ⅹ 夢見たものは……

 すきな ものを うたう

ぼくは ゆきの うたを うたう やまが すきだ かわが すきだ もりが すきだ ぼくは うみの うたを うたう しまが すきだ かぜが すきだ そらが すきだ すきな ものを うたう (2005.2.20) この社会のあらゆるものに囚われず、透明に生きたい。

ハウルの動く城

いまごろやっとですが「ハウルの動く城」を見に出かけてきました。レビューでもしようかと思いますが、まだしばらく劇場公開中なので感想だけを。ストーリーはオフィシャルサイトで。 ハウルの動く城 (スタジオジブリ絵コンテ全集 14)作者: 宮崎駿出版社/メ…

島崎藤村の年譜

明治 5年 筑摩県第八大区五小区馬籠村(現長野県西筑摩郡山口村)に、父正樹、母縫子の四男として生まれる。父は名主兼戸長の職にあり、平田派の国学に傾倒していた。 明治11年 神坂村小学校に入学。 明治14年 長兄、三兄とともに上京し、長女の夫高瀬…

はじまりのところへ

もう 帰りたくなってきたんだ 雲の 始まりのところへ 僕は こんな草原に一人でいると どこに帰ればいいのか 本当にわからなくて 山の 上の方まで 伸びた雲の裾野を追って 歩いていくんだよ 僕には この世界に 居場所がなかった 生まれた時に そう思ったわけ…

人の弱さ

海の深さ 山は悲し 山の孤独 雲は悲し 雲の別れ 空は悲し 空の高さ 街は悲し 街の黒さ 雪は悲し 雪の刹那 星は悲し 星の廻り 森は悲し 森の乾き 石は悲し 石の尖り 川は悲し 川の濁り 人は悲し 人の弱さ 海は悲し (2005.2.10) 人だけが、自然でないのだ。 …

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