2004-01-01から1年間の記事一覧

草の乱

大内宿:会津郡下郷町(3)

湯野上温泉駅から6kmほどの所に、大内宿(おおうちじゅく)という宿場町がある。ここは、会津西街道または南山通りと呼ばれ、会津若松と日光今市を結ぶ重要な道であり、参勤交代などで宿に利用され、かつてにぎわった場所である。今ではこの道で日光まで…

湯野上温泉:会津郡下郷町(2)

会津は温泉名が駅名になっている所を始め、東山温泉など有名な温泉も多い。今回は塔のへつり駅の隣の「湯野上温泉」駅へと向かった。事前のチェックの段階で、いくつかよさそうな日帰り入浴の旅館を見つけたが、実は外部にはあまり知られていない無料の露天…

塔のへつり:会津郡下郷町(1)

前回は会津紀行は、白虎隊の自刃の地である飯盛山へと出かけた。今回は、会津若松市の南、会津郡下郷町へと向う。今回は、朝からじっくり一日旅ということで、会津ぐるっとパスを購入して乗り込む。下郷町は、会津若松からお座敷トロッコ列車で有名な、会津…

平成16年10月の更新

自作(感人)の詩を追加 海と空の境界で 心変わりの樹 たそがれ殿の夢の跡 手と手の平の冬木立 放課後の時 双葉 星の光 ほほえむ君に その他メモ デクノボー 詩人 石川啄木の詩を追加 ココアのひと匙 我を愛する歌 コンテンツ コンテンツ(一覧)

双葉

花は咲かなかった 僕は泣かなかった 部屋には書籍が満ちていた 心にはしじまが 秋の空、近くの店で見つけた ほころび始めた蕾《つぼみ》の姿で 淡紅色の花を咲かすという 駐車場に続くベランダの 洗濯物のその下で ほっそりとした茎を伸ばしたその先に 大和…

心変わりの樹

物理棟入り口のすぐ脇に、小ぶりだが、枝を広げたモミジの樹がある 「なぜこうなったの」 5月の風に訊《き》かれたとしたら 私はそう答えよう 「ただ美しかったから」と それでよいのです、と あの時、傾きかけた日差しの下で 誰かが建物に入って行った 幾…

手と手の平の冬木立

朝地下鉄でぐらりとゆれて はっと手すりへ手を繋ぐ 手と手の平は荒れ果てていて 一足早い冬木立 物書き付けるその元に 手と手の平があったはず 心を通って腕へ手へ 万年筆のペン先へ 書き付けられたその先は 声も切れ切れ秋の蝉 早くも冬がやってきた 湯へと…

ココアのひと匙

われは知る、テロリストの かなしき心を―― 言葉とおこなひを分ちがたき ただひとつの心を、 奪はれたる言葉のかはりに おこなひをもて語らんとする心を、 われとわがからだを敵に擲《な》げつくる心を―― しかして、そは真面目《まじめ》にして熱心なる人の常…

たそがれ殿の夢の跡

やまやまやま(山)に囲まれて ここは山形山の国 くもくもくも(雲)く覆われて 空にも山を築きたり やまやまやまを仰ぎ見て 出羽のお山に手をたたく かすかすみたつ(霞立つ)輝きは 人の思いか神の光《ひ》か やまやまやまの頂は 氷雪残す静けさに しずし…

星の光

旅先での私は、(電車)ステンレスにはね返る 光すらもとらえ、満たされてしまう 始まりの朝に、まだ見ぬ色を求めて やすらかに眠る私の中の光を 空に放して この青い森に向かって 私の対になる場所を 生まれた時に私へと うえつけられた一部の その元となる…

海と空の境界で

空を見ることが増えていた 人は、何もないと言うけれど こんなにも満ちているではないか 眼下《がんか》には海が広がり 岸壁《がんぺき》に打ちつける 波しぶきが聞こえる 海に浮かぶ空は、まだら色で うろうろしていた 何も無いところにたたづむ人はいない …

ほほえむ君に

岩木山は、なめらかに、雄大な裾野を広げている。麓一面に広がるりんご畑、抱えきれぬ微笑を掲げ、水面《みなも》と空に語らいかける。 ほほえむ りんご きになる りんご むきあう りんご たびだつ りんご ほほえむ君を 手に取れば 柔肌《やわはだ》さぐる …

デクノボー

もとは詩としてつくったものでが、詩を読んでも、その舞台となる風景を見たことが無い人には、想像しにくいことから、見たことが無い人にも、その風景のよさを感じてもらえたらいいと思い、小分けで絵が入るように考えてみました。そのうち機会があれば絵を…

放課後の時

教室の空気は重い 口聞《き》く者おらず 皆《みな》かりかりとペンを走らせ 皆カタカタと指をたたく その部屋は不釣合いで 木枠の大きな窓 時代へのタイムスリップ 一人空を見る放課後の教室 黒板の上には標語 行事・コンダテ・清掃当番 僕にはもういっぱい…

平成16年9月の更新

自作(感人)の詩を追加 石彫 ハゲ田 石神の丘 空の泉 限りなき世界 琥珀の思いに つれづれ 岩手山の伝説:岩手県 石神の丘美術館:岩手町 秋田県の親子丼 詩人 津村信夫の詩を追加 ETUDE 荒地野菊 孤児 詩人の出発 小児の絵筆の思ひ出に 春夜 はるかなもの…

石彫

風の過ぎ去った丘に わずかに残された雲に 陽《ひ》へと帰る枯葉《かれは》に 山に宿る者達の念仏《ねんぶつ》が始まる 繰返す者達 生成と消滅の間には 時と時が結ばれ その時々の黄昏《たそがれ》が含まれる 止まった時の形から 世界の渦へと授《あずけ》け…

ハゲ田

私の仕事は終わりました 水は抜かれて 稲は刈り取られ いがぐり頭になりました 夏には青々と草も茂り バッタや蝶々が飛び 蝉の鳴き声なんかも染み付き 風が吹くたびに歌い返したものです とても大きなぐるぐる風や 雀《すずめ》なんかにも突《つつ》かれまし…

石神の丘

風の過ぎ去った丘に 土へと帰る枯葉の溜息《ためいき》 わずかに残された雲に 山に宿る木霊の鈴の音《ね》 草に咲いた童女は《わらめ》は 済んだ時を守り 闇を統《と》べるフクロウは 森の人をつかむ 光の生成と消滅に 見つめる石の力 輝きいだく月の星に た…

空の泉

何もいらなかった 何もとらなかった 身を起こせば 窓の外が見え あの青い空だけでなく あの青い山も見えた 何もかもが、ゆっくりと動いている 眩《まぶ》しい日差しの中で 雲が西へと進んでゆくのを 共に流れてゆくことが出来た夏の日 雲は山向かいから飄々…

春夜

星のちかい山の小都市で、娘《むすめ》は病《やま》ひに臥《ふ》せつてゐた。 天《そら》は、いくたびか雪を降らせた。 それから、幾夜《いくよ》さか、晴れた天《そら》がさしのぞかれたが、屋根《やね》の積雪《せきせつ》はかたくて、もう月光《ひかり》…

ETUDE

秋が来たら、ああ、それは小さな街《まち》の何処《どこ》にも木洩《こもれ》れ日《び》の美しい、蜂蜜《はちみつ》の潤沢《じゅんたく》な……。 この約束を私は疑わない。また去年《こぞ》の旅を続けよう、去年《こぞ》の日の私の思念《パンセ》のなかでは、…

限りなき世界

稲穂の季節がやってくる 大地を埋め尽くす水田(みずた) いにしえよりの礎 深く豊かな東北 二つに分かつ峰々 無窮の力をたくわえ 道の奥と呼ばれし時を 胸に秘めし岩清水 冬の音 下曲《したま》がりの木 春の光 ブナの木漏れ日 夏の香《かおり》 土蒸す野原…

石神の丘美術館:岩手町

いわて沼宮内で電車を降り、石神の丘美術館へと向かう。ここ岩手町は、黒御影石が産出され、石彫に力を入れている。御影石とは、御影地方(兵庫県六甲山ふもと)が産地として有名な花崗岩質岩石の石材名であり、庭石・墓石や石造品に多く用いられている石で…

岩手山の伝説:岩手県

台風18号が東北地方を過ぎ去り、晴れ渡った木曜日、岩手県岩手町への出張のため「はやて」に乗り込んだ。古川が近づくにつれて田園地帯が広がり、黄金(こがね)色のじゅうたんが風の通り道を示す。週末が刈り入れ時だというたわわに実った稲は、朝食を食…

琥珀の思いに

眠れぬ夜の月の下 夜露《よつゆ》が香る草の上 琥珀《こはく》の中のかけた心が 誰にも触れず歩き出す 私の放したいたずらは 君の心を惑わせて 木の葉を揺らすため息に 手元の草を絡ませる 私はそっと手を添えて 幼さ残る瞳から すべてをとかす微笑を 琥珀の…

秋田県の親子丼

秋田県に出張に出かけていた。 台風16号の真っ盛りであり、差した折り畳み傘は、急に横から吹いた風により骨が逆に曲がり、使えなくなってしまった。朝から濡れ鼠である。 能代市で食事を取った時の話。親子丼を注文し食べると、なぜか具にタケノコとシイ…

平成16年8月の更新

自作(感人)の詩を追加 忘れられた道 河原で汲み上げる物 自作(感人)の以前に詠んでノートに残っている詩を追加 歩けることに 貧者の巣 教室 わたしのカケラ つれづれ 飯盛山:会津若松市 life is lovely コンテンツ コンテンツ(一覧)

河原で汲み上げる物

我、石を拾い集める 時の泉で 我、石を積み重ねる 賽の河原で 失(う)せた流れに 置き去(ざ)られた思いを 一人たたずむ 先の無い河原で 音も無く崩れる 重ねあげた真理は 繰返された世界の 不条理な礎 生まれた日の喜びは 少年の日に忘れ 少年の日の夢は …

忘れられた道

青ざめた顔面 月の光に映し 瓦礫で踊る 過ぎし日の道標(みちしるべ) 今、歩いてきた路は、闇の中へと過ぎ去り 次のモノノ価値に、過去の路が敷かれる 錆びれた線路に、舌を寄せれば きしんだレールの、幾世もの錆 シャーシャー キシャーキシャー 沈黙の中 …